介護士の人材不足問題に対する国の対策

介護業界では慢性的な人手不足の問題を抱えています。しかもそれは改善されているどころかむしろ深刻さを増しているとも言えるでしょう。2022年に都道府県が推計した必要とされる介護職の数によると2023年度には233万人、2025年には243万人、2040年には280万人とされています。どんどん需要が増しているのに対して供給が追いついていないため、人材不足の問題が加速化しているわけです。

高齢化問題と介護環境の充実は社会全体の大きな問題でもあるため、国も人材不足の問題を解消するためにさまざまな対策・取り組みを行っています。まず介護士を確保するため、資金を提供する制度があります。「再就職準備金貸付制度」や「修学資金貸付制度」などです。これらの制度は介護職が離職した後に再就職する際に必要となる準備資金や、介護士を目指す学生向けに必要な資金を貸し付けるもので、一定期間介護士として勤務することで返済の必要がなくなるという大きな特徴を持っています。

さらに介護職員の待遇を改善するための給料の財源の確保、女性が活躍しやすい環境を作るための託児所の設置などの取り組みも進められています。そして今後期待される対策としてはIT化の推進と介護ロボットの導入による業務効率アップと介護職の負担の軽減が挙げられます。どうしても十分な人材を確保するのが難しい面があるため、こうした技術面の改良によってなんとかしようという取り組みが活発化しているわけです。

さらに国だけでなく都道府県や自治体レベルで独自の取り組みが行われることもあり、今後それがどのように成果を上げることができるか注目されている状況です。